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要求に応えられないときの心配り

信頼関係を傷つけない

ある利用者がベッドを汚してしまったので、介護者はシーツを取りに行こうと廊下を急いで歩いていました。すると、Kさんが「ちょっとこれを見てくれませんか」と声をかけてきました。何か手紙を持っています。シーツ交換が終わったらみてあげようと思い、「今忙しいから、後にしてくださいね」と答えました。シーツ交換が終わってKさんのところに行くと、「他の人にお願いしたからもう結構です」と言われてしまいました。

<適切な言葉かけの例>

これから急いでシーツを交換しなければならないので、それが終わったら見せてくださいね。10分くらいで終わりますので、お部屋で待っていてくださいね。

「今忙しいから」という言葉は、私たちが普段何気なく使ってしまう言葉です。使った人にはそれなりの理由があると思いますが、言われたほうの言い分もそれなりの理由があると思われます。今回は、まずシーツ交換しなければならないことは正しい判断ですが、その理由はKさんに伝わっていません。また、「後にして」というのが、10分後なのか1時間後なのか見当もつきません。「今忙しいから」を繰り返していると、「自分の話を聞いてくれない」と思われてしまう可能性があります。 待たされる人の思いをしっかりと受け止めて、出来る限りの同意を得ておくことが大切です。同じ待っているでも、具体的な目安があれば、案外待てるものです。なぜ忙しいのかを説明し、待ち時間の目安を伝えることで、信頼関係を傷つけずにすみます。忙しさでついつい配慮に欠けがちですが、このような心配りが大切です。

言いにくいことを伝える

Lさんは、84歳の女性で、一人暮らしをしています。病気の後遺症で歩行が困難にな  り、車椅子を使用していますが、自分から外出することはほとんどありません。隣に住む同じ年の女性と親しくしていて、よく遊びにくるので、ホームヘルパーとも顔見知りになりました。ある日、ホームヘルパーが買い物に行こうとすると、隣に住む女性が、自分の買い物も一緒にしてきて欲しいと言いました。「規則でできないんですよ」と伝えましたが、何度もお願いしてきて困ってしまいました。

<適切な言葉かけの例>

本当に申し訳ないのですが、お金を預かることはできないんです。お役に立てなくてごめんなさい。

ホームヘルパーの活動では、利用者以外の人の介護をしたり、お金を預かったりすることはしないのが原則です。しかし、このように利用者から何度も何度も頼まれると断りにくいように感じます。Lさんが、お友達に便宜を図りたい気持ちもわかりますし、Lさんと仲良くしているお友達のお願いを断るのは悪いような気がしてしまいます。しかし、ホームヘルパーの業務に関わることなので、決まり事は確認しておく必要があります。Lさんにとっても、これから長くサービスを利用していくでしょうから、ホームヘルパーの役割や仕事の内容、規則などはちゃんと理解していただく必要があります。そうすれば、トラブルもなく付き合っていけるでしょう。なかなか言いにくいことでも、やはりきちんと伝えなければならないこともあります。問題になるのは、伝え方です。規則だからといって、一方的に言えば、相手は嫌な思いをするでしょうし、人間関係にひびが入らないとも限りません。また、ホームヘルパーを利用するのが初めてであれば、ホームヘルパーの役割をよく理解できていない場合もありますので、ホームヘルパーとしてどこまでできるのか理解していただくことも大切です。伝え方に気配りして接していくことが大切です。