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利用者の自尊心に配慮した介護

感情的にならない

Qさんは45歳の男性で、交通事故の後遺症で半身が不随です。電動車椅子を使いながら、一人暮らしをしています。ホームヘルパーは家事援助のため週1回訪問しています。Qさんは排泄にも障害があり、紙オムツとパットを使用しています。ところが、Qさんは節約のためと言って、使用済みの尿取りパットを干して乾かしてから再度使おうと捨ててくれません。あまりの異臭にホームヘルパーは強い口調で「こんな物一度使ったら捨ててください。臭くて仕事になりません。不潔だし、きちんと処分してくれないのなら、もう来週から来ませんよ」と言ってしまいました。

<適切な言葉かけの例>

一度使ったものは、いくら干しても殺菌されないので、感染症などの病気にかかる心配もあります。衛生的に心配なので、必ず処分してくださいね。

ホームヘルパーの仕事をしていて、自分の価値観や生活習慣とあまりに違って戸惑うことも多々あるでしょう。特に清潔感に関する感覚の違いは、なかなか受け入れられないものです。利用者に改善してもらうためには、まず理由について説明し、納得してもらう必要があります。話せばわかってくれる人でも、こちらがあまりに一方的に、感情的に責めたてると気分を害するものです。「臭い」「不潔」などの言葉は利用者を深く傷つけます。なので、感情的にならず、冷静に落ち着いて利用者と話をすることが大切です。そのために、正しい知識や技術を身につけることも大切です。

意欲向上の手助け

ある日、Rさんがトイレに座ったけれど、車椅子に移れなくなってしまっている、と他の利用者から連絡がありました。Rさんは普段オムツを使用しているのに?と寮母が急いでトイレをのぞいてみると、Rさんは、自分の力で便器に座れた喜びと排泄後のすっきりとした表情で便器に座っていました。寮母は思わず大きな声で「なんで一人でトイレに行ったの?もし転んだら危ないでしょう」と言ってしまいました。Rさんは少しバツが悪そうですが、満足そうな笑みを浮かべていました。

<適切な言葉かけの例>

一人で便器に移れてよかったですね。今度そうするときは、もう少し上手にできるようになるまで私に見守らせてください。練習すれば、オムツを卒業できるかもしれませんね。

オムツを使用することは、何となく惨めな気持ちになり、出来れば自分でトイレに行きたい、と思うことは自然なことです。リハビリの意味も含め、日常生活の動作の低下を防ぐことが介護の基本です。大切なことは、本人の意欲です。その意欲をどのようにリハビリにつなげていくかということは、周囲の人達の接し方や家族による励ましがとても大切になります。 意欲向上のためにも、否定的でなく肯定的に接していくことが必要です。転倒したりする危険面も考慮して、ただ守りの介護ではなく、安全面を考えてどのようにすればいいかという発想に立って、介護者が見守っているなかでの動作を促す言葉がけが必要です。自分でできたという感激を本人と介護者が共に喜べるような雰囲気づくりこそ意欲向上につながります。