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利用者に安心感を与える介護

気持ちに寄り添う

Cさんは83歳で、脳血管疾患後遺症で寝たきりの状態です。尿意や便意をもよおすとナースコールを鳴らしますが、いざ行ってみると、排尿・排便はなく片付けて戻ると、すぐにまたコールが鳴ります。またある時には、あそこが痛い、ここが痛いと言って5分間隔で呼び出します。しかも、こういう行為は介護者が少ない夜間にとても多いのです。 「また?さっき行ったばかりでしょ。ちょっと待ってて。」という言葉が介護者の間で使われるようになってしまいました。問題の多い利用者という扱いになってしまいました。

<適切な言葉かけの例>

ご自分で洗濯したいという気持ちはよくわかります。でも、たくさんの洗濯物ですから、私にもお手伝いをさせてくださいね。

コールに対して:どうしましたか。今すぐに行きますね。

ベッドサイドで:何かお話したいことがあるみたいですね。つらい時や寂しい ときはいつでも呼んでくださいね。

Cさんの場合、ナースコールを頻繁に鳴らす事だけが問題視され、なぜ鳴らすのかというところは問題視されていません。本来こういう状況のときは、心の部分をしっかりと見つめることが大切であると同時に、Cさんの置かれている生活背景を理解していくことも大切です。Cさんは、家族の面会もほとんどなく、同じ部屋の人ともあまり話をしていません。このような状況から、Cさんには、コールを鳴らした理由よりも、Cさんの話をじっくり聞いてあげることのほうが大切だと思われます。Cさんの訴えや気持ちに寄り添ってあげることが求められているのではないでしょうか。

不安を理解する

Dさんは、週3回デイサービスに通っています。デイサービスに来て2時間ほどすると、自分の履き物が気になりはじめます。その日も玄関の方に行こうとしているDさんを見掛けた介護者が声をかけました。「Dさん、どこにいくの?」すると、「草履があるか見てくる」という返事がかえってきました。Dさんは、徘徊癖があるので、以前玄関に草履を見に行ってくると言って、そのまま外に出て行ってしまったことがありました。またいなくなってしまうと困ると思った介護者は、手が放せなかったので、「履き物はちゃんとあるから心配しなくても大丈夫ですよ」と声だけをかけましたが、Dさんは玄関のほうへ歩いていってしまいました。なので、もう一度「履き物はちゃんとあるから、心配しないで」と言うと、Dさんは、「私を家に帰さないつもりですか」と怒り出してしまいました。

<適切な言葉かけの例>

草履が心配なのですね。私も一緒に探しますので、ちょっと待っていてください。

この場合、Dさんが心配しているのは、草履がなくなったらどうしよう、という事より、家に帰れなくなったらどうしよう、という事です。デイサービスセンターにいて、「このまま家に帰れなくなったら・・・」とか「早く家に帰りたい」という気持ちが、「草履がなくなったらどうしよう・・・」という不安な気持ちにつながっています。なので、その不安に対して、「心配しないで」という言葉だけでは、不安な気持ちは解消されないのです。介護者は、「またか・・・」という気持ちになってしまうかもしれませんが、「一緒に探しましょう」という言葉でDさんは自分の気持ちが否定されなかったことで安心します。利用者の不安を理解してあげることが大切です。そして、自分の目で草履があることを確認してもらうか、「草履はこちらでお預かりしてますので、お帰りのときにお渡ししますね」と伝えるかだと思います。どちらにしても、帰ることが前提として表現されることで、家に帰れなくなったらどうしよう、という不安が解消されます。